はなごろも
「制作 「おもいやり家」さん」

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木の図

「今日のはなごろも」には、デイサービスの様子が紹介されています。「裏はなごろも」には、介護、その他に関しての想いを書き連ねています。

介護保険法、施行時と今について考える

ちょっと趣向を変えて、介護保険制度について、少し自分の思いを述べたいと思います。平成9年の社会福祉審議会の決定を受け、平成12年に介護保険法が施行されました。私は第1回目のケアマネ試験を受け、その仕事についたため、当時の国の介護保険制度の考え方について未だに覚えています。当時、国は、この「介護保険法」を広く国民に理解されるため、リーフレット等を作成し、その内容を広く広報をしていました。国が介護保険法を施行することのメリットとして掲げていた点と現状について、考察を加えてみたいと思います。                                     当時、国がこの保険制度の導入するメリットの一つとして、「税制度を導入することで福祉サービス利用についての精神的ハードルがさがる」というものがありました。介護保険制度導入前、各種サービスを利用するためには、市町村長の命令としての「措置」という方法でサービスを利用することとなっており、「福祉サービスの活用=『ほどことを受ける』」ような精神的な負担を伴う傾向があったとして、税金を払ってのサービスを受けることでサービス利用の精神的負担が減ると説明していました。しかし、介護サービスをうけるためには認定調査を必ず受けることとなっていて、措置の時代よりはるかに   込み入った内容の調査を定期的に受ける必要があります。                                    次に、介護保険導入のメリットとして挙げていたのは、「必要なサービスを必要時に受けられる」ということでした。ただし、現状を見れば、当初、要介護と認定されれば利用できた「特別養護老人ホーム」に関して、財政上の理由で、要介護3以上でないと利用できないと変更になっています。     また、同法導入によるメリットとして挙げられていたのは、「サービスを自分で選べる」を挙げていました。しかし、現状は、制度や事業種等について詳しくないご利用者様・ご家族様に、選択に資する情報を与えるのはケアマネで、その決定にケアマネの作為的な選択導入がされている現状があります。このことについては、別の章で述べていきます。併せて、「民間活力を導入することにより、競争原理が働き、質の良い事業所が生き残ることかができる」なんてのもありました。このことも、「サービスを自分で選べる」に通じることがありますので、別の機会に述べます。                この他、「この制度が始まれば、女性の社会進出ができる」なんて言葉もありました。介護のため離職しなければならなかった女性が、介護保険法により潤沢なサービスを受けられ社会進出ができる、という内容だったかと思います。ですが、運用されるようになってしばらくたった後、やはり、財政的な問題から、「若い人と同居の方、または老人だけの世帯でもどちらかが元気なら、掃除や買い物など家事援助のサービスは利用してはだめ」となりました。                          また、「応能負担から応益負担」なんて言葉がありました。措置の時代は利用者世帯の所得により利用料の差が設けられていましたが、介護保険法導入で、利用するみんなが等しく1割負担となり公平性を担保できるという説明だったと思います。しかし、これも財政上の理由から、世帯によって2割負担が導入され、今は、高所得者は3割負担となっています。                               最後にあったのは、「来る超高齢化社会を支える財政体制のために税制度を導入する」というものです。この面は今も強く言われているところです。これから、団塊の世代が介護保険サービスを利用するようになれば、今までの財政体制では社会保障制度が崩壊するという言葉です。激しく同意いたします。無尽蔵にあるわけではない国の財源について、その体制を整え、若い世代につけを残さないこと、賛成いたします。ですが、介護保険制度施行時にはメリットのみを強調しておいて、いざ、法が運用されてから、知らず知らずのうちに徐々に規制が強くなりメリットとされていた部分が消滅していくというのはおかしいと感じるのは私だけですか。私は、財政面を理由にするなら、堂々と大変な時代になるからと伝えればいいのに、なんて考えてしまいます。そういえば、消費税は全額社会保障に使うとのことでしたね。そんなことはないでしょうが、消費税が特別会計ではなく、一般会計に繰り込まれている現状、その使途が不明なんてことはありませんよね……。